Ryoji Okada Official Website

Diary

New bunch book collection for 2024 Spring/Summer, vol.19: Novara, Tallia Di Delfino, E.Thomas etc.

Loud Garden / Ryoji Okada

 

< News! >

  ☑︎ 4月の水曜日は14:00-20:00で営業いたします

  ☑︎ リペア&リメイク一部再開しました

  ☑︎ Made-to-order “Skull Hat/スカルハット”

  ☑︎ 俺の新作:残布パッチワークブルゾン

  ☑︎ 俺の新作:Reversible coat

 

New bunch book collection >

  ☑︎ vol.1: Ermenegildo Zegna

  ☑︎ vol.2: Darrow Dale 2-1

  ☑︎ vol.3: Darrow Dale 2-2

  ☑︎ vol.4: Maurizio 2-1

  ☑︎ vol.5: Maurizio 2-2

  ☑︎ vol.6: Strona

  ☑︎ vol.7: Holland & Sherry – Oceania –

  ☑︎ vol.8: Holland & Sherry – Crispaire –

  ☑︎ vol.9: Holland & Sherry – Azure –

  ☑︎ vol.10: Holland & Sherry – Crystal Springs –

  ☑︎ vol.11: Fratelli Tallia Di Delfino

  ☑︎ vol.12: Martin Sons & Co., Marling & Evans etc.

  ☑︎ vol.13: Dormeuil, William Halstead etc.

  ☑︎ vol.14: Woodhead, John Foster

  ☑︎ vol.15: Smith Woollens

  ☑︎ vol.16: Holland & Sherry – Sherry Stretch –

  ☑︎ vol.17: Loro Piana

  ☑︎ vol.18: Ferla, Cerruti, Drago etc.

 

 

 

昨日の「諸般の事情」とは僕が世界で最も敬愛する音楽家:山口洋先輩がLOUD GARDENから徒歩3分にあるライヴハウス Mndalaさんで行ったソロライヴです。

ここ数年、不義理続き全然行けていなかったので万難を廃して行ってきました。

ソロライヴに行くのはいつ以来だろうか?

HEATWAVEのライヴ以上に久し振りなはずです。

して、そのライヴは、

悪かろうはずがありません!

普段は聴くことができないソロライヴならではのレアな楽曲、猛烈に熱いギターと丁寧に紡がれた歌、そしてほっこり心温まる笑い。

僕の人生に寄り添ってくれた名曲:出発の歌を聴けたのも幸運でしたし、最近お作りしたシャツを着てくれていた(と思いますが老眼で100%の確証はありません)のも嬉しかったです。

いや、本当にサイコーでした。

会場が近くということもにあり初めて妻と一緒に行ったのですが、妻も喜んでくれました。

山口さん、お疲れ様でした!

そして、サイコーのライヴをありがとうございました!

ソロツアーは昨日が初日で2年をかけて全国61箇所を回るそうです。

皆さんも機会があればぜひ足を運んでみてください。

 

 

 

ところで。

「サイコー」といえば。

今日は6日振りに新作バンチブックをご紹介します。

新作バンチブックのご紹介は今日が19回目、20回の大台まであと1回、今月中の目標にしている22回まであと3回まできました。

バンチブックのご紹介はかなりの時間と労力が必要なのですが、楽しみにしてくださるお得意様がいらっしゃるので必ずや今月中に22回のご紹介は終えたいと考えています。

僕自身の勉強にもなりますしね!

乞うご期待ください。

19回目の今日も前回ご紹介したバンチブック同様「複数ミルの極上Jacketing(ジャケッティング:ジャケット向けテキスタイル)とTrousering(トラウザリング:ボトムス向け的ステイル)が百花繚乱している」の見応えたっぷりのコレクションです。

前回ご紹介したバンチブックも白眉でしたが、今日ご紹介するバンチブックもかなりサイコー!

極めて充実した内容に仕上がっていますので、ご来店の際にはぜひとも最初から最後までじっくりご覧ください。

では、早速ご紹介しましょう。

 

 

 

今日ご紹介するのは ↓こちらのバンチブック↓ です。

 

 

前回ご紹介したバンチブックと比較的似ている内容とはいえ被っているミルはMariling & EvansとDi Prayのみ。

そして、そのMarling & EvansとDi Prayも素材自体はまったく「被りなし」です!

つきましては。

Jacketingのチェックをなさる際にはぜひぜひどちらのバンチブックもご覧ください。

いや。。。

他にもまだ同タイプのバンチブックがありますのでそちらもあわせてお願いします!

もちろん引き続き、お電話/e-mail/SNS等でのご注文/お問い合わせも大歓迎で承っております。

気になる素材があってご来店が難しいようでしたらどうぞお気軽にご連絡をくださいませ。

ご来店なしでもお作りいただけるように工夫をします。

では、冒頭に収録されているNovara by Ermenegildo Zegnaから見ていきましょう。

 

 

Novara by Ermenegildo Zegna 1-1

 

 

Tessitura Di Novaraは1932年創業のSilk専業メーカーです。

そのクオリティの高さは業界でも折り紙付き、それが証拠に世界最高峰のイタリアンミルErmenegildo ZegnaがSilk部門を強化する目的で2009年に買収しました。

以来、Zegnaグループ内の1ブランドとして確固たる地位を築き、Silkを中心に様々な原料を使った素材をコレクションに加えながら着実な成長を続けています。

今回入荷した新作5マークはいずれも極めてNovaraらしいSilk Tweed、品質は76% Wool + 24% Silk(240g)です。

24%のブレンドながら、まるで100% Silkのような光沢と滑らかさを実現しているのはさすがの一言です。

この5マークがNovara単独ではなくNovara by Ermenegildo Zegna名義なのはその自信の表れでしょうか?

*織りネーム(素材タグ)にもErmenegildo ZegnaとNovaraが併記されています

上3マークは完全な無地です。

Silkの美しさがひときわ際立つ見事な仕上がりです。

下2マークはさりげないクインティプルウインドウペーンがスタイリッシュの極致ではないでしょうか。

今まで一度も作ったことがないミルなので、その真髄を味わうためにもぜひとも作ってみたいです。

 

 

Fratelli Tallia Di Delfino 3-1

 

 

僕が愛してやまないFratelli Tallia Di Delfino(以下FTD)の新作は18マークの大漁です!

嬉しい限り。

先日、Suiting(スーティング:スーツ向けテキスタイル)コレクションをご紹介した時にも書いたのですが、FTDは以下のようなミルです。

FTDは、1903年イタリアのビエラ地方Strona(ストローナ)に発祥した100年以上もの歴史を誇る、そしてLoro PianaおよびErmenegildo Zegnaとともに世界3大ミルの一角を担う存在として世界中のビッグメゾンやトップテイラー(注:LOUD GARDENを含みます😎)から高い評価を得ているイタリア屈指の最高級ミルです。

その最大の特徴は「高級織物」しか生まれえないその生産背景にあります。

具体的には、FTDの生産が豊富な水資源により古くから繊維・織物産業が根付いてきた環境の中で、「梳毛織物においてはSuper 120’s ~ 200’s(17.5 ~ 13.5μ*)のみを扱う」など常に最高級原料を使用し、最新設備と伝統技術に基づいた一貫体制の下で行われていることにあります。

世界中から熱い支持を集めている「繊細な表現」はこの生産背景の賜物といえます。

また、イタリア屈指との誉れ高いクリエイティヴチームが担当するデザインも特徴的で、毎シーズン「歴史に裏打ちされたクラシックな感性」と「時代を引っ張っていくという高い志」が絶妙なバランスで融合されたコレクションをリリースしています。

2008年にはMarzottoグループの傘下に入り、これまでに培ってきたレガシーはそのままにスケールメリットを獲得することでエコフレンドリーな新機軸を打ち出すなど更なる躍進を遂げてますます存在感を増しているところも見逃せません!

*μ=マイクロン

こちらはエレガント&ラグジュアリーをコンセプトにシルクやリネンなどを贅沢に混紡したした夏らしく上品なサマーツイードコレクション:FTD Luxury Collectionです。

具体的な品質と特徴は以下の通りです。

上3マーク:46% Wool + 31% Silk + 23% Linen(250g/m)の超スーパーラグジュアリーな無地です。はっきりしていながらも優しいカラーが素晴らしい逸品です。

上から4番目:50% Wool + 40 % Silk + 10% Linen(230g/m)のメッシュ組織のネイヴィブルー無地です。メッシュ組織由来のスポーティさと40%もブレンドされている最高級シルク由来の光沢が見事なハーモニーを奏でているまさにラグジュアリーなブレザー素材です。

上から5番目/6番目:69% Wool + 16% Silk + 13% Linen + 2% Polyamide(260g/m)のチェックです。ホップサック調の織りがとても軽快で涼し気な素材です。洗練されたカラーリングも見事ではないでしょうか。

1番下:71% Wool + 17% Silk + 12% Linen(230g/m)のチェックです。細番手糸を使用したツイル(綾織)組織由来のラグジュアリーなボディとイタリアンミルならではの繊細なカラーリングが完璧なハーモニーを奏でている極上素材です。。

 

 

Fratelli Tallia Di Delfino 3-2

 

 

こちらの7マークはCanapaと名付けられたざっくりとした肌触りと力強いカラーリングが特徴のサマーツイードコレクションです。

Canapaは麻の一種で大麻から生まれる繊維です。

英語でいうHempに近い(あるいは同じ)繊維だと思います。

*↑こちら↑ は現在確認中です!

同じ麻系の繊維でもLinenより更に丈夫で、吸水性も高く、簡単に摩耗せず、虫もつきにくく、経年による風合いの変化を楽しめるとても優れた繊維です。

また、Linenよりも爽やかな肌触りも特徴的です。

このような特性から、Canapaによる織物は主にテーブルクロスやベットカバー等、生活に密着したところで2000年以上も前から活躍していたようです。

FTDはイタリアの伝統でもあるCanapa産業の文化的継承事業にも取り組んでおり、フランスやベルギー産のLinenとの差別化を自らのコレクション:このCanapaコレクションで表現しています。

品質はすべて75% Canapa + 25% Wool(310g/m)です。

とてもロマンあふれるナイスコレクションですよね!

皆さんはどのCanapaがお好きですか?

僕は麻系の素材ではレアなブラック&ホワイトのハウンズトゥース(上から4番目)が激しく気になります!

 

 

Fratelli Tallia Di Delfino 3-3

 

 

FTDの世界的ベストセラーボディNapoliのJacketingです。

Napoliとは。。。

名うてのビスポークテイラー/サルトリアが集う街としてSavile Rowと並び称されるNapoli。

その聖地に相応しい「上質で仕立て映えのする最高級の生地」を提供するという役割を120年に渡り担ってきた歴史や哲学を宿すFTDのベストセラーボディがこのNapoliです。

具体的には17.0μという究極のウール原料のみを使用したFour Seasonsタイプ(日本においては盛夏をのぞくオールシーズンタイプ)のツイルボディです。

ご覧の通り高級感あふれる優雅な佇まいと色気のある色柄が魅力です。

優雅でラグジュアリーで大人の色気に満ちたジャケットをお探しの方にオススメです。

上3マーク:上品なチェック3マークです。FTDらしい洗練された色柄が自慢です。品質は100% Super 130’s wool(250g/m)です。

1番下:さりげない凹凸を持つ定番のブレザー素材です。品質は100% Super 130’s wool(240g/m)です。

 

 

E.Thomas 1-1

 

 

E.Thomasは1922年にイタリアのスイス国境にほど近いルガーノという湖の一角でErnesto Thomasによって創業されました。

以来、実に1世紀もの長きに渡って「高品質なWool素材をはじめ、CashmereやSilk、Linen、Mohairといった高級素材/天然素材を混紡したラグジュアリーかつクリエイティヴな素材」を作り続けています。

年間生産量がそこまで多くないせいか、あるいは(もし20年以上前と変わっていなければ)日本のエージェントさんが掲げる「多く流通させることが目的ではない。セールスも量より質!」という方針のせいか、日本における知名度はそこまで高くないのですがその品質の高さは間違いありません!

それが証拠に僕の知る限り、テイラー業界内にもファンが少なくないミルです。

かくいう僕も、洗練されたイタリア的感覚と旧き佳き英国的なモノづくりに強く共感してCarlo Barberaとともに一時期すごく憧れていました。

結構お高いので、この業界に30年近くいながらも2着くらいしか作れていませんけれど汗。

でも、いつかまた作りたいと思っています。

ちなみにエージェントさんの話は実話で、GIEVES & HAWKESをやっていた時に2回だけ会食でご一緒したことがあり、その際に濃厚な大阪弁で上記趣旨のお話をなさっていた記憶があります。

さすがにもうご引退なさっているかな?

上2マーク:定番ボディのサマーツイードです。品質は38% Wool + 34% Silk + 28% Linen(250g/m)です。モダンクラシックかつイタリアン/ブリティッシュな色柄が魅力です。

上から3番目:今シーズン「要注目」のストライプJacketingです。品質は44% Cotton + 31% Silk + 25% Linen(240g/m)です。オーガニックでナチュラルな品質と色柄がとても素敵ではないでしょうか。

上から4番目/5番目:定番ボディ&ダイアゴナル無地のサマーツイードです。品質は38% Wool + 34% Silk + 28% Linen(250g/m)です。上2マークの柄違いですね。上の深いグリーンがすごく気になります。

下2マーク:やや肉厚なサマーツイードです。品質は48% Wool + 26% Silk + 26% Linen(270g/m)です。300g/m以上ありそうなざっくり感とやや甘めの打ち込みがすごくいい感じです。ジャケットはもちろんですがゆったりサイズのバルマカーンコートを作ってもよさそうです。

 

 

Dondi 1-1

 

 

Ermenegildo Zegnaをご紹介した回の「復習」になりますが。。。

Dondiは1970年に北イタリアで創業された世界屈指の高級ジャージーメーカーです。

2019年にErmenegildo Zegnaの傘下に入り、現在はCashmereやWoolを中心とした最高品質のジャージー素材のみを生産しています。

以前からトップメゾンがこぞって愛用するジャージーメーカーであったと同時にファッショントレンドの変化によってジャージー素材の需要が増加していることもあり「近年最も注目されるテキスタイルメーカー」として業界内でのプレゼンスを急激に高めています。

柔らかくとろけるようなタッチと洗練されたカラーリング、そして歴史ある専業メーカーならではの安定した品質を兼ね備えたDondiのジャージー素材は「極上の着心地」と「織物とはまた異なる気品」を誇ります

基本的に天然繊維のみを使用するというポリシーも嬉しい限りですね!

こちらの4マークはホップサックを思わせる、いかにもDondiらしい珠玉のジャージーです。

快適なのはもちろんのことなんとも「涼しげな顔」もとっても素敵ではないでしょうか。

ぱっと見はそこまでジャージーっぽくないのもいいですよね。

1番上は4マーク中最もざっくりした&最もジャージー然とした100% Cotton(350g/m)ジャージーです。

なので、仕上がりはカーディガンジャケットのような柔らかさに恵まれると思います。

そこを逆手に取って敢えてクラシカルなダブルブレステッドを作ってもよさそうですね!

上から2番目/3番目も100% Cotton(358g/m)ジャージーです。

深みのあるネイヴィブルーと爽やかなベイジュの2カラー展開です。

1番下はLinenブレンドのジャージーです。

具体的な品質は61% Cotton + 39% Linen(330g/m)です。

ハニカム構造状にも見える編み組織がすごくスタイリッシュですよね!

また、混紡したLinenが所々でランダムな「節」を作っているのもとてもナイスだと思います。

そして、伸縮性に乏しいといわれるLinenを使ったジャージー素材というのも素晴らしい!

「さすがDondi!」だと思います。

Linen混紡由来の通気性、清涼感、カジュアル感、豊かな発色に恵まれると同時にジャージーならではの伸縮性と快適性に富んでいる訳ですからまさに素晴らしいの一言ではないでしょうか!?

伸縮性に富んでいるということは、テンションが分散されるためシワになりにくいことも意味するので「麻はシワがちょっと」という方にもオススメしたいです。

1カラー展開なのが残念ですが本当に素晴らしい素材だと思います。

また、いずれもジャージー素材なので横方向だけではなく縦方向にも伸びます!

つまり、着心地は快適そのものです。

 

 

Marling & Evans 1-1

 

 

「いかにもUKミルらしいブリティッシュテイスト」がとってもダンディなサマーツイード4マークです。

それが証拠にこの4マークにはEnglish Summer Tweedという名称が冠せられています!

品質はすべて50% Wool + 50% Linen(290g/m)です。

どれもすごくカッコいいですよね。

特にトラディショナルなチェックとモダンなカラーリングが絶妙なハーモニーを奏でている上2マークはかなりツボです!

また、このボディは結構しっかりと打ち込んでいるので、ワイドシルエットならボトムスもいけると思います。

なので、僕は上から2番目で1930’sを彷彿とさせるスリーピーススーツを作ってみたいです。

前回も書きましたがMarling & Evansは ↓こんなミル↓ です。

—–

Maring & Evansは1782年にイングランド南西部のStroudに紡績・製織・整理の機能を持つ一貫生産体制のメーカーとして設立されました。

19世紀にはフランネル素材で広く知られるようになり、1920年代にはロールスロイスが厚手フランネル素材を車の内装に使用したことでも話題になりました。

1960年代には現在のHuddersfieldに移転、Flannel、Saxony、Lambswool、Shetland、Undyed British Woolといった英国スタイルの素材だけを展開して今日に至ります。 

特に、「英国羊毛のナチュラルカラー糸で生産するUndyed British Wool」はその生産工程のこだわりを数多くのメディアが取り上げるなど、Marling & Evansの代名詞的存在にまで育ちました。

具体的には「希少な英国羊毛のみを使用して」「紡績・製織工程に染料や化学物質は使用せず」「フィニッシュ工程では天然の石鹸を使用して」Undyed British Woolは生産されています。

加えて、全生産工程が半径6マイル以内の工場で行われるため二酸化炭素の排出量が最小限に抑えられています。

Undyed British Woolは環境への負荷が抑えられると同時に昔ながらのブリティッシュウールの味わいが見事に表現されたこの時代に相応しい傑作なのです。

*こちらの4マークはいずれもUndyed British Woolではありません。

—–

 

 

Kynoch 1-1

 

 

Kynochは1788年創業、カントリーテイストが強いスポーティな素材を得意とするスコットランドのスーパー老舗ミルです。

こちらのサマーツイードもKynochの特徴的テクニックのひとつである「意外性のあるキレイなアクセントカラーを馴染ませるカラーリング」が見事な、そしてヴェリーブリティッシュなテイストが素晴らしい傑作です。

品質は上が52% Wool + 48% Cotton(310g/m)で、下の2マークが36% Wool + 32% Silk + 32% Linen + 10%(260g/m)です。

夏の本格的なツイード。

抜群に粋だと思います。

来年はぜひとももう少しマーク数を多めにして欲しいですね!

 

 

Spence Bryson 1-1

 

 

Irish Linenメーカーの王者:Spence Brysonの定番ボディです。

Spence Brysonは1891年の創業時から高品質のLinenをヨーロッパ中に供給、目の肥えた貴族たちを魅了してきました。

英国王室御用達の勅許を受けているのもその証左です。

また、現在Irish Linenを名乗ることが許されるのは「Irish Linenの品質保持を目的として1928年に設立された業界管理組織:Irish Linen Guild」のメンバーのみで、Spence Brysonはその代表的なメーカーです。

世界一美しいと称賛される光沢感とその豊かで優しい肌触りは、Irelandにて長く培われてきた伝統と技術、そして多くの努力によって支えられています。

こちらの4マークも品質はもちろん100% Irish Linen、ウエイトは390g/mです。

それはもう素晴らしい素材です!

ハードに打ち込んだ素材ですのでもちろんボトムス(つまり、スーツ)にもいけます!

僕はこのボディならスリーピーススーツを作りたいですね。

カラーは。。。

1番上のブラウンか1番下のホワイトでしょうか。

皆さんはどのカラーがお好きですか?

関係のない話ですが。。。

また、Irelandに行きたいな〜!

 

 

Di Pray 1-1

 

 

1948年創業、ビエラ地区のミルとしては比較的若い企業(といっても創業76年!)Lanificio Di Prayの10マークです。

Di Prayは主に「しなやかな風合いと精細な色柄が特徴的なMen’s向けJacketing」を得意とするミルです。

こちらの10マークもいかにも「らしい」、とってもキレイなカラーリングが魅力的な素材だと思います。

品質は上から2番目が55% Wool + 45% Silk(260g/m)、上から6番目が72% Silk + 28% Wool(260g/m)、それ以外の8マークが65% Wool + 21% Silk + 14% Linen(230g/m)です。

いずれもSilk特有の美しさ発色と豊かな光沢を活かした青い空に映えるカラーリングが見事です!

いずれも素晴らしい素材だと思いますが、僕は上から3番目と4番目のチェックと下4マークの無地が特に好きです。

前者はこれ以上にないほど洗練されたカラーリングが、後者はラグジュアリーの中にさりげなく表現したヴィンテージテイストが刺さりました。

前回ご紹介したバンチブックにコンパイルされているDi Prayの5マークとはややテイストが異なりますが、こちらの方がより本来のDi Prayらしいコレクションかもしれません。

ご来店の際にはぜひとも両者を見比べてみてください。

 

 

Marlane 2-1

 

 

Marlane(マルラーネと読みます)は1952年創業のMarzottoグループに属する中高級テキスタイルメーカーです。

イタリアのビエラ地方にコントロールオフィスを持ち、Marzotto本体とは一線を画し同じく傘下のGuabelloやSondrioとともに独立運営されています。

上品な艶と独特のソフト加工による柔らかな風合いを特徴に持つSuper 100’S ~ 120’SのウーステッドSuitingが主戦力ですが、昨今では強力なストレッチ素材やエコフレンドリー素材といった今日的な素材も多く手がけています。

比較的リーズナブルなプライスも魅力のひとつです。

というイタリアンミルのJacketingコレクション7マークです。

こちらの4マークはComfort Lounge Jacketという名称が冠せられた36% Cotton + 35% Viscose + 26% Wool + 3% Polyurethane(290g/m)のハイパーストレッチ素材です。

Comfort Lounge Jacketはコンフォート&エレガンスをテーマにしたジャージーのようにサラッと羽織れる快適さを持つモダンクラシックな比較的新しいラインです。

上3マークはワイド巾:約2.0cm巾のヘリンボン、1番下はさりげなくダイアゴナルが表現された無地です。

 

 

Marlane 2-2

 

 

先にご紹介したComfort Lounge Jacketとは異なる方向性のクラシカルJacketing 5マークです。

上の3マークは100% Wool(270g/m)のFour Seasonsタイプです。

いずれも品格あふれるジャケットが仕上がること間違いなしの素材です。

下の2マークはExtenderのブレザー素材です。

Extenderは高いナチュラルストレッチ機能(Polyurethaneに代表される伸縮性の高い原料を使わず天然繊維オンリーで実現したストレッチ機能)を誇るMarlaneの「要注目」ラインです。

「ナチュラルストレッチ界」では恐らくTrabaldo TognaのEstratoと肩を並べるパフォーマンス性の高さだと思います。

品質は100% Super 100’s Wool(260g/m)です。

こちらは高いストレッチ性に加えて撥水機能も兼ね備えています。

ということは。。。

ご出張やご旅行のお供に最高のブレザーが仕上がるはずです!

上は(ブラックではなく)ミッドナイトブルー、下はネイヴィブルーです。

ミッドナイトブルーのブレザー、しかも高機能!

いいですよね〜!!

ExtenderはSuitingの展開もあります。

というか、Suitingでの展開がメインです。

そちらも近々ご紹介できると思いますので乞うご期待ください!

 

 

Angelico 1-1

 

 

クリエイティヴなデザインと比較的リーズナブルなプライスが魅力のイタリアンミルAngelicoの4マークです。

いずれも60% Wool + 40% Cotton(220g/m)のWool Blend Seersuckerです。

クラシカルなシアサッカーといえば100% Cottonですが、最近ではより通気性に優れた100% WoolのSeersuckerもしばしば目にします。

が、Wool + Cottonは結構珍しいと思います。

両者の良いどころ取りをしたかのようなリラックスムードとエレガントな質感が絶妙なハーモニーを奏でている新感覚のSeersucker、夏向けのカジュアルジャケット/スーツに絶対のオススメです。

ちなみに、何度もこのDiaryでは書いていますが。。。

Seersuckerとは「しじら(縞状のしぼ)」の入った織物のことです。

もう少し具体的に書くと、「波状の凹凸のある部分」と「平らな部分」を交互に表現することで縦方向に縞状のしぼを走らせた織物のことです。

このしじらにより肌への接地面積が少なくなること、つまり「肌へのベトつきが少なくなり」「通気性に富み」「さらっとした肌触りに恵まれる」ことこそがSeersuckerの真髄です。

毎年さまざまな高機能素材がリリースされる昨今ですが、Linenとともに100年以上に渡って「メンズファッションにおけるSpring/Summerシーズン向け素材の代名詞的存在」として君臨し続けているSeersuckerこそが現代のSpring/Summerシーズンにおいても「本命」なのかもしれません。

加えて、Seersuckerは「しじらによってシワになりにくい/元からシワ(というかしぼ)があるので仮にシワになっても目立ちにくい」「見た目にも涼しげである」「色鮮やかなストライプやチェックも存在する」といった魅力も併せ持っています。

また、日本ではシンプルに「サッカー」と表現されることも少なくありません。

Seersuckerの主な品質は100% Cottonで、我々はウールやシルクで作られたSeersuckerを便宜上「ウールサッカー」「シルクサッカー」などと呼ぶことが多いです。

ということは、こちらなら「ウールコットンサッカー」あるいは「綿麻サッカー」と呼ぶのが日本風でしょうか?

 

 

Wild Silk 1-1

 

 

世界中に顧客を持つシルクメーカーJJRのWild Silk(野蚕糸)を使用した100% Silkコレクションです。

Wild Silkは自然の山や野原で育った蚕からとれるシルクのことで、流通の多い家蚕糸と違い天然らしい不均一の糸からなる表面感が特徴のサステイナブルな逸品です。

自然がもたらすWild Silkの美しさはラグジュアリーの新しい在り方です。

品質は100% Silk(245g/m)です。

僕は不勉強でJJRというシルクメーカーを知らない上に、webで調べても把握できなかったので現在リサーチ中です。

made in Englandでも、Italyでも、Franceでも、Irelandでもない(というか表記がない)のと、JJRという名前からすると日本製の素材かな?と想像しています。

それはともかくとして、このWild Silkという代物。。。

素晴らしいですね!

そして、どのカラーも美しいですね!

テロンとしたコートかジャケットを作りたいですね。

 

 

Sondrio 1-1

 

 

数多くのメゾンブランドが顧客でもあるイタリアを代表する名門コットンメーカーSondrioのクリエイティヴな無地コレクションです。

いずれもSondrioらしいナイス素材ばかり!

ですが、実はこの10マークは少々個性が異なる3つのボディから構成されています。

上3マークはRoyal Partyと名付けられた高密度サテン(朱子織)の100% Cotton(460g/m)です。

芯がありながらもなめらかな風合いを誇る上品なボディです。

上から4番目から7番目は気品あふれるルックスのボディにコロニアルなテイストのカラーを揃えたSartorial Cotton & Linenです。

品質は55% Cotton + 45% Linen(360g/m)、Linen由来の野趣味とカジュアル感、強い打ち込み由来のヴィンテージタッチが白眉です。

下3マークはSondrioの定番、ニュアンスカラーが美しいストレッチコットンコレクション:Pradeです。

具体的な品質は97% Cotton + 3% Polyurethane(380g/m)です。

上質なコットンを惜しみなくしっかりと打ち込んだ素材の手触りは柔らかさの中にハリコシがあります。

もちろんPolyurethane混紡由来の高いストレッチ性も魅力です。

このバンチブックの全貌ご紹介は以上です。

それでは、これまでと同じようにまずは冒頭から全マークをご紹介したので、最後に「僕のBestセレクション5」を披露したいと思います。

正直、今回は相当悩みました。

時間がもう少しあれば「僕のBestセレクション10」にしたかったのですが、昨日は早上がりしたので断念!

厳選に厳選を重ねてセレクトした5素材をご紹介します。

 

 

Novara by Ermenegildo Zegnaからはこちらのブルー2マークをセレクトしました。

 

 

こちらも。。。

ネイヴィブルー:上かサックスブルー:下のどちらかにしたかったのですが、見れば見るほど両方とも素晴らしく、触れば触るほど絞れませんでした汗。

それだけどちらも極上!とご理解ください。

僕はこちらなクラシカルな(太らない限りは)一生モノのジャケットを作りたいです。

ボタンはマザーオブパール(白蝶貝)ボタン、ライニングはブルー系の華やかなプリント素材にしたいです。

 

 

Fratelli Tallia Di Delfinoからはこちらのハウンズトゥースをセレクトしました。

 

 

はい、上でも絶賛したCanapaシリーズのブラック&ホワイトです!

まずはこのCanapaシリーズのボディが極めて魅力的なこと。

そして、サマーツイードとしては珍しいブラック&ホワイトのハウンズトゥースなこと。

そしてそして、そのハウンズトゥースが絶妙な大きさなこと。

上記の3要素が高いレヴェルで融合している様に惚れました!

かなりの太番手糸を使用してしっかり打ち込んだサマーツイードなのでスーツもいけると思うんですよね。

なので、僕はこちらならスリーピーススーツを作りたいです。

具体的には「ピークトラペル&シングルブレステッド1ボタンのジャケット + ダブルブレステッド8ボタンのラペルレスヴェスト + 2インプリーツ&テイパードシルエットのボトムス」といった感じでかなりフォーマルテイスト強めのスリーピーススーツを作りたいです。

ボトムスはワイドシルエットでもいいかもしれませんね。

 

 

E.Thomasからはこちらのストライプをセレクトしました。

 

 

この素材も最高にいいですよね〜!

Cottonがメインマテリアルながら、31%ブレンドされたSilkと25%ブレンドされたLinenの効果で美しい光沢が生まれています。

カジュアルテイストとエレガントテイストが見事にバランスした傑作だと思います。

オーガニック&ナチュラルなカラーリング、ベースのヘリンボン組織、交互に巾違いのクインティプルストライプも素晴らしくカッコいいと思います。

僕はこちらならヴェリーイングリッシュなスリーピーススーツを作ってみたいです!

具体的には「セミノッチドラペルのシングルブレステッド3ボタンジャケット + シングルブレステッド6ボタンのラペルドヴェスト + 1インプリーツ&ややテイパードシルエットのボトムス」で作りたいです。

ボタンはブラウンマザーオブパール(茶蝶貝)ボタン、ライニングはブラウン系の優しい(けれど密かにロックな)プリント素材にしたいですね。

そして、しばしばジャケットとボトムスをセパレートして使いたいです。

ジャケット単体で使う場合はボトムスをベイジュ無地にしたいです。

ボトムス単体で使う場合はジャケットをベイジュ無地にしたいです。

また、スリーピーススーツで着る時もジャケット/ボトムスを単体で使う時もVゾーンはナチュラルカラーでまとめたいです。

いずれにしても、最高に「使えるスリーピーススーツ」になりそうです。

 

 

Angelicoからはこちらの2マークをセレクトしました。

 

 

 

涼しげな(いや、実際に一般の素材に比べればかなり涼しい)Seersuckerとナチュラルカラーが素晴らしいハーモニーを紡いでいるこちらの2マーク!

最高に好きです!

僕はこちらなら上のグレンチェックをメイン使用したダブルブレステッドスーツを作りたいです。

下のマイクロチェックは上衿やポケットの両玉縁といったパーツで使いたいですね。

ボタンはブラウンマザーオブパールにして、仕立ては毛芯/肩パット/たれ綿なし・大身返し・背裏観音開き仕様と軽快にしたいです。

また、マイクロチェックではボトムスも作っておいて時々セットアップしたいです。

 

 

 

Wild Silkからはこちらのイエローをセレクトしました。

 

 

Wild Silkは4カラーとも興味津々です。

快晴なこともあってか昨日の気分はこちらのイエローでした。

明日はブラックかもしれません。

レッドがあればレッド一択に違いありません!

いや、レッドがあったとしてもグリーンと悩むかもなぁ。。。

いやいや、ホワイトこそSilkと最良の相性!!

などなどあれこれ楽しく夢想しました。

とにもかくにも、このWild Silk!

どのカラーかはまだ決めていないのですが1着は作ってみたいです。

作るアイテムは決まっています。

1枚仕立てのチェスターフィールドコートです。

そして、敢えて(ちょっと怖いけれど)洗濯機で水洗いなんかをしてよりクタッとさせて普段着使いをしたいです。

そう考えると。。。

食事をすぐにこぼすような僕ですから。。。

汚れが目立つホワイトは論外、ブラックがベストな選択なのかもしれません汗。

などと思うとホワイトを作りたくなりますね笑。

 

以上です。

 

次回は様々なミルの素材がコンパイルされているJacketingコレクションの3冊目をご紹介予定です。

乞うご期待ください!

 

 

 

14th. Apr. 2024

Ryoji Okada

 

 

 



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