昨晩は、僕の大切な友達で、LOUD GARDENのディープな顧客で、レジェンダリーなフォトグラファーのDENNIS MORRISとディナーに行きました。
はい、現在青山のagnès b. Galerie Boutiqueで<Bob Marley by Dennis Morris: Portraits of The King>というフォトエキシビションをやっている彼です。
火曜日まで日本に滞在しているのですが、今回はなかなかお互いのスケジュールが合わなくてゆっくり食事ができていなかったんですよね。
僕もまあまあ忙しいしデニスもすごく忙しいみたい。
忙しいのはいいことですけれどちょっと残念。。。
「まあ、今回はゆっくり話せなくても仕方ないか」なんて思っていたら、水曜日にふらりとLOUD GARDENに現れて「週末どう?」と提案してくれたので昨晩行ってきました。
ご夫人のIsabelle、そして日本における一番弟子的存在のJoji君と4人で川上庵に行きました。
最近の南青山は夜が早い店が多いので長時間とはいきませんでしたが、しっかりとPositive Vibesをもらいました。
なんだか。。。
ちょっとしたトラブルや心ない人による心ない言葉も糧にできるような気になりました。
そして、亡くなったSHANE MacGOWANについても話しました。
いい晩だったなぁ。。。
ところで。
「ディープ」
おとといに続き新作バンチブックをご紹介したいと思います。
1回目・2回目とエレガント極まりないイタリアンミルのバンチブックだったので3回目の今日はmade in EnglandのSuiting(スーティング:スーツ素材)がコンパイルされたバンチブック、すごくディープなコレクションをご紹介します!
具体的にはDormeuil/ドーメル、John Cavendish/ジョンキャヴェンディッシュ、William Halstead/ウィリアムハルステッド、Savile Clifford/サヴィルクリフォードの「4社混」なバンチブックです。
特にWilliam HalsteadのCrown Flannelは白眉ですのでご来店の際にはぜひともじっくりご覧になってください!
では、今日も魂を込めて全マークを出来るだけ丁寧にご紹介します💪
今日もまた皆さんが「おっ!?」と思う素材がありますように!
ではでは、早速いきましょう。
今日ご紹介するのは ↓こちら↓ のバンチブックです。
4社ともかなり個性が異なるマーチャント/ミル/ブランドです。
クリエイションにあまり共通項のない4社なので見ている分にはすごく楽しいと思います!
そして、皆さんの心にはどこの素材が「刺さる」のか?
とっても気になります。
つきましては、ご来店の際にはぜひともじっくりチェックしてくださいませ。
もちろん、お電話/e-mail/SNS等でのご注文/お問い合わせも可能ですので「Dormeuilの上から3番目のストライプはどういう感じの全貌?」とか「これに近いチェックでmade in Italyの素材はある?」とか「とてもいい感じなのでこれで前回と同じスーツを作っておいて!」といったご質問やご要望がありましたらどうぞお気軽にお申し付けくださいませ。
それでは、前回・前々回と同じように冒頭から「複数素材を撮ったグループ写真」と「グループ写真の中で僕が最もオススメしたいイチオシ素材」を1セットとしてご紹介していきます😊
まずはDormeuilからいきましょう。
DormeuilのベストセラークオリティAmadeus 365の10マークです。
Amadeus 365は、AmadeusとともにDormeuilのシンボル的なボディのひとつであると同時に流行に左右されないクラシックさを大切にしたPrestige Suitingです。
具体的には、膨大にあるDormeuilのコレクション中で最も人気のあるAmadeusと同じ厳選されたSuper 100’s原料を使用、従来のAmadeusより緯糸(ヨコイト)を細くすることで軽量化をはかり、1年365日シーズンを問わず着用可能なウエイト/厚さ/素材感を実現したいわゆるFour Seasonsタイプの素材です。
*1年365日はヨーロッパでの感覚ですので日本では盛夏を除くオールシーズンといったイメージになります
「厳選された原毛」と「英国素材ならではのしっかりとした打ち込み」、そして「丁寧なフィニッシュ」による重厚な光沢と耐久性、優雅なしなやかさがその特徴です。
品質は100% Super 100’s Wool(260g/m)です。
Dormeuilの説明は。。。
不要だとは思いますが簡単に!
Dormeuilはパリに本社を置く世界最古のマーチャントです。
その歴史は1842年にイギリスから毛織物を輸入販売することから始まりました。
以降、「1927年に世界で初めて服地にセルヴィッヂ(耳)を採用」「それまでは難しいとされていたMohair原料を使用した服地の製造に成功」「Tonik等の歴史的傑作を複数リリース」といった数多くの逸話を残して現在に至っています。
上記の通りフランス企業ながらも創業ほどなくして独自の感性を反映したオリジナルファブリックを英国のミルに織らせたり、1971年にはロンドンに1号店をオープンさせたり、英国ミルを傘下に収めたりと「英国色」が極めて強く、コレクションはそのほとんどすべがイギリスのハダースフィールドにある傘下のミルにて生産されています。
創業から181年。。。
紋章に刻まれている “domus optima domous amica(最高の品質を最高のおもてなしで)”という言葉のとおり、現在もトップマーチャントとして世界80カ国以上にその美しい作品を供給し続けています。
Amadeus 365の「僕のイチオシ」は ↓こちら↓ です。
「グループ写真」の上から5番目のストライプ素材です。
この最高にダンディなグレイ!
そして、スタイリッシュ極まりない高貴なパープルとライトグレイのオルタネイトストライプ!
すごくかっこいい素材ではないでしょうか。
僕はこちらなら正統派のダブルブレステッドスーツを作りたいですね。
ぱっと見はすごくシックに見ると思うのでライニングはド派手にしたいです😎
パープルベースの華やかなライニングを探しましょう!
John Cavendish 2-1です。
John Cavendishは1988年創業のブランドです。
創業35年というとテキスタイルメーカー業界ではヒヨッコ同然ではありますが、にも関わらず既に世界中の一流テイラーおよび数多くのデザイナーズブランドにも供給を行うなど高い評価を得ています。
最大の特徴は、英国素材の持ち味であるハリとコシを残しながらもイタリア素材のような繊細さや優雅な光沢が表現された「英国素材とイタリア素材が高い次元で融合したかのようなテイスト」です。
その独特の立ち位置こそがまだ若いメーカーであるJohn Cavendishのプレゼンスを飛躍的に高めた主要因に違いありません!
副要因として強力な営業力とかもあるのかもしれませんが。。。
LOUD GARDEN/RYOJI OKADAに最も欠けている力ですね(汗)。
頑張らねば!!
それはともかく。
こちらは、90% Super 120’s Wool + 10% Silk(270g/m)のFour Seasonsタイプになります。
確かにイタリアンミルっぽい品質ですよね。
美しい光沢は10% Silkがかなり効いていると思います。
が、その手触りは上述の通り豊かなハリコシに恵まれています。
そして、色柄は英国っぽいクラシカルテイスト!
これは好きな人はかな〜り好きなだと思います!?
が、しかし、ハリコシは静止画像ではまったくお伝えが出来ませんし、10% Silkが効いている光沢も実際に素材を動かしてもらった方がより一層分かりやすいと思います。
つきましては、ぜひともご来店の際には実際に触って/動かしてみてください!
John Cavendish 2-1の「僕のイチオシ」は ↓こちら↓ です。
クラシックながらもどこかヤンチャな感じがするグレンチェック!
とっても好きです。
個性的なグレンチェック + 極上の品質ですからぜひとも作ってみたいです。
具体的にはクラシカルなスリーピーススーツが作りたいですね!
そして、ジャケットとボトムスは時々セパレートして着たいです。
John Cavendish 2-2です。
こちらは2-1よりグレードが高い95% Super 130’s Wool + 5% Cashmere(260g/m)シリーズになります。
タイプ的には2-1と同じくFour Seasonsタイプの素材です。。
もう少し突っ込んで説明をすると、SilkではなくCashmereブレンドなので光沢については2-1の方がより強めですが、Cashmereゆえの豊潤な温かみはこちらに軍配が上がります!
また、こちらはWoolがより細番手になりますのでソフト感についてもこちらが優っているでしょうか。
加えて、ご覧の通り色柄はこちらの方がやや「遊び」があるでしょうか。
皆さんはどちらがお好みですか。
ご来店の際にはぜひともその辺の違いも楽しんでみてください😊
John Cavendish 2-2の「僕のイチオシ」は ↓こちら↓ です。
「グループ写真」の上から7番目:ミニダイヤ織柄のネイヴィブルー無地です。
この織柄はすごく威厳があって素敵ですよね!
濃いめのネイヴィブルーもすごくいいと思います。
僕はこちらならちょっとしたフォーマルシーンでも着られる色気のあるスリーピーススーツが作りたいです。
具体的には「ピークトラペルの1ボタンジャケット」「ダブルブレステッドヴェスト」「2インプリーツのテイパードボトムス」といったスタイルのスリーピーススーツです。
また、カラー違いのブラックもすごくクールだと思います!
もちろん華やかな柄物も捨て難い魅力がありますよね😉
William Halsteadです。
William Halsteadはイングランド北部に位置するウェストヨークシャー州ブラッドフォードにて1875年に創業されたミルです。
「William HalsteadといえばMohair素材」と称される、そして「Mohair素材の大家的存在」とも呼ばれるWilliam Halsteadですが、今シーズンはCrown Flannelという気合の入った名前の素晴らしいフランネルをリリースしました。
昨今はフランネルすらも「軽くてソフト、そして薄め」という要素がキイワードになっていますが、このCrown Flannelはその逆を突き進む「よき意味で時代遅れ」な逸品です。
もう少し突っ込んで説明をすると。。。
Crown FlannelはWilliam Halsteadの地元であるウェストヨークシャー州で紡績された短繊維糸を使用した紡毛フランネルです。
最近はフランネルも梳毛が増えてきていますが、そしてそれはそれで悪くないのですが、やはり本来は紡毛ですよね!
僕はそう思います😊
もちろん特徴は短繊維糸を使用した紡毛というだけではありません。
「フィニッシュ工程で表面を掻く事で表現している独特のふっくらとした滑らかな肌触り」「450gとやや重めのウエイト」「昔ながらのしっかりとした打ち込み」といった豊かな特徴も併せ持つ、クラシックなイングリッシュスタイルがお好きな方でしたら堪らない会心作だと思います!
こういったフランネル素材を生産すること自体はそこまで難しくないのかもしれません。
が、だとしても、この時代に敢えてこのボディを15マークも取り揃える心意気に敬意を表したい気持ちでいっぱいです!
お金があれば全マークで何かしらを作って妻にこっぴどく叱られたいです笑。
上:柄物8マークです。いずれもクラシック柄。その潔さやヨシ!ですよね。
下:無地7マークです。完璧なカラーヴァリエーションだと思います!
William Halsteadの「僕のイチオシ」は ↓こちら↓ です。
上画像の上から2番目のストライプです。
絶妙にグレイッシュなブルー!
そして、約2.5cm巾のチョークストライプ!!
そしてそして、Crown Flannelボディ!!!
最高以外の何物でもありません!
僕はこちらでクラシカルだけれどエッヂの効いた遊びがあるスリーピーススーツを作ってみたいです。
ということは、お得意の 「縦横斜め」な ↓こちら↓ でしょうか!
ジャケット:セミノッチドラペル・シングルブレステッド&段返りの3ボタン・スランテッド/ハッキングポケット・サイドヴェンツ・ホリゾンタル裁断したアウトサイドチケットポケット(チェンジポケット)
ヴェスト:ラペルレス・シングルブレステッド6ボタン・前身頃の上前(ウワマエ:左手側)を正バイアス裁断/下前(シタマエ:右手側)をホリゾンタル裁断・腰ポケットはヴァーティカル裁断
ボトムス:ベルトスープレス&サイドアジャスター付き・2インプリーツ・テイパードシルエット・6.0cm巾のターンナップヘム
といった感じ。
はい、前回:FTDの120th Anniversary 16.0μ 2Plyでも書きましたが以前にSmith WoollensのBotanyに収録されているバンカーストライプで作ったデザイン/スタイルです。
あるいは先日ご紹介したReversible Balmacaan Coatの片面にもアリかもしれません!
とにかく何かしらを作ってみたい素晴らしい素材です。
Crown Flannelはもちろんのこと、今日全体のイチオシでもあります!
最後にSavile Cliffordです。
Savile Cliffordは1899年創業、現在は大手マーチャントScabalの傘下に入っているモダンクラシックなモノ作りを得意とするブランドです。
昨年のこのバンチブックでは3マークに激減していましたので「あれ?そろそろフェイドアウトかな?」と寂しく思っていましたが、今シーズンは11マークと復活気味です。
Savile Cliffordの素材で作ったことは一度しかないのですが好印象だったのでこの傾向は嬉しい限りです。
ご覧の通りいずれも無地です。
上3マーク:Solaroタイプのヘリンボンです。いずれもとても複雑かつ繊細なナイスカラーです。
上から4番目と5番目:シャークスキンタイプの無地です。通常のシャークスキンより柄出しが強めで個性があり少々モード感のある「顔」に仕上がっているのが◎だと思います。
下6マーク:微妙に組織が違う素材もありますが完全な無地です。
いずれもクリアカット素材、品質は100% Wool(250g)です。
ウエイトは比較的軽いのですがしっかりと打ち込んでいるのでFour Seasonsタイプという感じではなく「秋冬 + 春先 = 2.8シーズン」くらいお召しになれるボディだと思います。
Savile Cliffordの「僕のイチオシ」は ↓こちら↓ です。
上から3番目のグレイヘリンボンです。
上述の通りこちらはSolaroタイプの素材です。
Solaroとは20世紀初頭にSmith Woollensが「経糸が表面に、緯糸が裏面に強く出る織物の特性を利用して熱帯の植民地にいる英国兵士が紫外線から肌を守るために開発したSun Cloth」のイタリア的表現です。
具体的には紫外線を反射する明るめのカラーを経糸に、着用者の肌を少しでも守るために暗めのカラーを緯糸に使用して織り上げられた素材です。
こちらは経糸にグレイを緯糸にネイヴィブルーを使用しています。
その経糸・緯糸使い由来の繊細かつ華やかな玉虫効果が美しくも楽しい素材です。
僕はこちらならモダンクラシックなスリーピースあるいはバルマカーンコートを作ってみたいです。
以上です。
もし皆さんが「お!」と思えるナイス素材があったなら嬉しい限りです😊
次回は同じmade in EnglandのSuiting、あるいはJacketing(ジャケッティング:ジャケット素材)をご紹介したいと思います!
乞うご期待ください。
3rd. Dec. 2023
Ryoji Okada