今日から2月!
LOUD GARDENは11月決算なので新しい期が始まって2ヶ月が経過したことになります。
幸いなことに12月も1月も昨年実績を上回っているので2月も引き続きど〜ん!と落ち込むことがないように全力で走り抜けたいと思います。
今年は。。。
「オーダーメイドシャツ2枚 = 税込¥22,000~ キャンペーン」の開催が昨年より1週間ほど遅いので2月の会期が多いこと。
ロックな和装業界のカリスマ的存在Rumi Rock様とのコラボレーションイヴェントを初めて開催すること。
1年前に正式ジョインした竹林颯汰君がクリエイターおよびテイラーのスタッフとして飛躍的成長を遂げていること。
等々、明確な「昨年との違い」があります。
なので、勝算はあります!
なだけでなく、昨日のDiary冒頭でも書いた通り、今日はこれから毎年の恒例行事である明治神宮に行ってきますので今年のことはもちろん今月の商売繁盛もお願いしてきます。
が、小売というのは「そう簡単ではない」のも事実です。
絶対に楽観視はせず、ここ数ヶ月同様に気を引き締めて日々に臨まないといけません。
という訳で、引き続きの応援をよろしくお願いします!
ところで。
「簡単ではない」といえば。
ここ最近、縫製が簡単ではない(いや、超難しいの方が正解かも?)アイテムをたくさん承っています。
先日ご紹介したBlack watch skirtやSailor pants、今週お渡ししたばかりで近日ご紹介予定のBlack watch harris tweed trucker jacketやStriped mods parka、今日ご紹介するReversible balmacaan coat等々
こういった「一般的なテイラーさんならまず承らない(というか承れない)と思えるアイテム」を高精度で作ることができるのはLOUD GARDEN/RYOJI OKADAの大きな強みです。
LOUD GARDENで取り扱っているなんらかのアイテムを縫製してくれている優れた工房/職人の廃業/引退が続く中で。。。
本当に「よくやっている!」と我ながら思います。
今も複数の難しいアイテムを製作中です。
苦しみながらも楽しく頑張っています!
なにせ、困難が大きいほど仕上がりを見た時の達成感は格別ですからね。
という訳で、今日は昨年末に仕上がったReversible balmacaan coatをご紹介します。
↓こちら↓です。
「お客様が手配なさった東向島のハギワラ袋物資材という会社がオリジナル開発した倉敷製先染め帆布(Cotton canvas)シリーズのRaoyal Strewart」と「数々の逸話を持つことでも有名なUKを代表する名門カントリー素材マーチャントW.Billのベストセラーコレクション/バンチブック:Classci ShetlandにコンパイルされているBlack Watch」を組み合わせてお作りしたリヴァーシブルのバルマカーンコートです。
前者は社名からも想像できる通り「袋物資材向けに開発された100% Cottonのウルトラハードな8号帆布」で、いつも依頼している工房では間違いなく取り扱いが不可能な代物です。
また、僕もジャケットを作ったClassic Shetlandだって、ツイードとしてはそこまでハードではないけれどライニングに比べればスーパーハードです。
はい、つまり、このコートはデザイン/仕様面以前に素材面でも極めて縫製が困難なのです!
「やりがいの塊」というヤツですね!!
見事な作品として完成させることができて本当によかったです。
という感じで作り手側にもディープなロマンがあるこのコートですが、それを抜きにしてもパッと見のルックス自体がご覧の通り単純に素晴らしくクール&エキサイティングではないでしょうか!?
どれだけ作るのが難しくても見た目が悪くてはお話になりません!
そういった意味では、LOUD GARDENが掲げる “Exciting, Emotional and Elaborate Tailoring” という理念を見事に体現したのがこのこのReversible balmacaan coatだと思います。
はい、自信作です!
具体的には以下のような1着です。
同じタータンチェックでも個性がまったく異なる逸品を使ってリヴァーシブル仕様でお仕上げしたのがこちらです。
国内の資材屋さんが作ったウルトラハードな100% Cotton帆布とUKを代表する歴史あるカントリー素材メーカーが作った伝統的な100% Woolツイードですからね。
個性は「まったく」どころか180度違います!
でも、どちらも伝統的なタータンチェックという共通項があるという。。。
構想当初は帆布を使うことだけは決まっていて、その「相棒」をどうするかという課題がありいくつか候補が挙がったのですが。。。
「対立と調和」を見事なまでに1着のコートに封じ込められるこのコンビネーションになさったのは「さすが石戸様!」としか申しようがありません。
はい、こちらはいつも個性溢れるクール&スタイリッシュなアイテムをご注文くださる気鋭のノンフィクションライター:石戸諭様よりご注文いただいたコートなのです!
年末にお渡しして以来、何度かお召しの勇姿を拝見しましたがサイコーに素敵でした。
そして、少々パンキッシュでいかにも石戸様らしかったです。
そもそもこの帆布を見つけて資材屋さんから買ってきちゃうという行動力もすごいです!
デザインは「セミステンカラー」「ラグランスリーヴ」「三角タブ付きの袖先」と典型的なバルマカーンコートスタイルです。
リヴァーシブルコートは一般的なテイラードウェアの工房/職人では縫製が難しい(90%以上の確率で「無理です」と断られると思います)にも関わらず、そして片面にウルトラハードな帆布を使っているにも関わらず見事かつ完璧に仕上げてしまうのは手前味噌ながら「LOUD GARDEN/RYOJI OKADAの底力」だと思います!
「カラーのバイアス裁断」「美しい柄合わせ」「ふらし処理を筆頭にした裾の特殊仕上げ」「made in Englandのリアルホーン(本水牛)ボタン」といった、このコートをOne of a kindたらしめているオーダーメイドならではのエキサイティングなディテイルも見逃せません!
では、そのディテイルを「寄り画像」で見ていきましょう。
バイアス裁断したカラーです。
これは石戸様のアイディアなのですが、ちょっとしたデザインアクセントになっていてすごく素敵ですよね。
トップボタンを外した状態です。
リヴァーシブルですからこのようにチラ見えします。
このコントラストもすごくナイスなアクセントになっていますよね。
背中心やフロントだけでなくラグランスリーヴやポケットも見事な柄合わせがなされています。
美しい!
スリーヴタブです。
Black Watch面の写真を撮り漏れてしまいましたがこちらのタブは両面についています。
Reversible Overcoatって袖口は簡素な筒袖にする場合が多いんですよね。
でも、LOUD GARDEN/RYOJI OKADAはテイラーですからね!
敢えてより手間がかかるフラップつきにしました!
上記の通り両面ともフラップ付きですが、内面になっているフラップ&ボタンが腕にあたって気になるというようなこともありません。
実際に着てみた僕の感想なので間違いありません!
はい、こちらは僕が自分用に作った “♡ Camo” cotton canvas reversible balmacaan coatと同じデザイン/仕様です
裾口です。
Reversibleということもあり、裾口はふらし(縫い合わせなし)で仕上げています。
簡易なReversible Overcoatは縫い合わせが多いのですが、そうすると例えば着用日に内面の素材が摩擦で引っ張られる(ライニングと違い少々滑りが悪いため十分にあり得ます)と裾が内側に向かって丸まってしまうなど「不細工」になりがちです。
が、ふらしにすれば内面と外面が独立しているのでそういったことが起こりません。
ただ、ふらしにすると内面と外面が互いに影響を与えないため、例えばちょっと走った時とかに外面の裾が上がると「内面の中面/裏面(←ややこしい!)」がチラ見えしてしまいます。
そうした時に「外面」と「内面の中面/裏面」がハイコントラストだと裾から覗いた「内面の中面/裏面」が悪目立ちしてしまうんですよね。
そして、Reversibleはハイコントラストな場合が多いです。
裏と表の「違い」を楽しむためのReversibleだから当然ですよね。
上の画像で見えている帯状のテープパーツ(我々は「身返し」と呼んでいます)はその対策です。
「内面の中面/裏面」の裾には「外面」と同じ素材でテープパーツが貼られているため、仮に「外面」が上がってもこのテープパーツが見えるだけなので「内面の中面/裏面」がチラ見えすることがないのです。
ちなみに、テープパーツは2.5cm巾です。
「2.5cm巾では短くないの?」「外面が派手に上に上がったら内面の中面/裏面が見えるでしょ?」とお思いかもしれません。
しかし、ふらしてはいますけれど「外面と内面は前立部分とセンターベント部分は縫い合わせしています」し「脇線の裏表で遊びのある縫いどめをしている」ので2.5cmでも十二分なのです。
また、テープパーツもはバシッと柄合わせがされているのも見逃せません。
僕の語彙力だとなんとも言葉では説明しにくいのですが素晴らしいディテイルだと思います。
テイラードウェアにはないこういったディテイル(←テイラードウェアには基本的にReversibleアイテムがないので当たり前です)を研究・試行錯誤しながら取り組んだためこのコートの最初の1着は完成までかなり時間がかかりました汗。
最初の1着を承ったのは2023年の11月でした。
こちらは4着目の受注ですがまだまだ通常のコートと同じリードタイムでは完成させられません。
が、それでも、だいぶ短くなってきました。
タイミングが合えば2ヶ月ちょっとで仕上げられます。
逆にタイミングが合わないと4ヶ月くらいかかりますが汗。。。
とにもかくにも、かようなコートを見事かつ完璧に仕上げてしまうテイラーは日本広しといえどもそんなに多くないはずです!
繰り返しになりますが自信作です!
以上です。
石戸様、いつも本当にありがとうございます。
心より御礼を申し上げます。
次はロックなトランプシャツが仕上がり次第ご連絡申し上げます!
1st. Feb. 2025
Ryoji Okada