Ryoji Okada Official Website

Diary

New bunch book collection for 2024-2025 Autumn/Winter, vol.16: Piacenza / Ferla / Drago etc.

Loud Garden / Ryoji Okada

 

< News! >

  ☑︎ 10月/11月の水曜日は14:00-20:00で営業いたします

  ☑︎ Statement shirt: DON’T LOOK BACK

  ☑︎ Statement shirt: The Union Jack

  ☑︎ リペア&リメイク一部再開しました

  ☑︎ Made-to-order “Skull Hat/スカルハット”

  ☑︎ “Robots” Shirting入荷!

  ☑︎ “World Map” Shirting入荷!

  ☑︎ “Polka Dots” Shirting入荷!

  ☑︎ The Loudest Voice vol.38 in store now!

 

New bunch book collection >

  ☑︎ vol.1: Special Lining

  ☑︎ vol.2: Classic Shetland by W.Bill

  ☑︎ vol.3: Dorchester by Hardy Minnis

  ☑︎ vol.4: Dormeuil / William Halstead etc.

  ☑︎ vol.5: Marling & Evans / Kynoch etc.

  ☑︎ vol.6: Bodega

  ☑︎ vol.7: Fratelli Tallia Di Delfino

  ☑︎ vol.8: Drago

  ☑︎ vol.9: Ermenegildo Zegna

  ☑︎ vol.10: The Album vol.20

  ☑︎ vol.11: Premier Cru by Harrisons

  ☑︎ vol.12: Masquerade by Harrisons

  ☑︎ vol.13: Loro Piana

  ☑︎ vol.14: Marzotto

  ☑︎ vol.15: John Foster / Woodhead

 

 

 

1週間ほど前に、ちょうど40年前にTHE STYLE COUNCILがシングルShout To The Top!をリリースしたことを書きました。

それ以来THE STYLE COUNCILの音源を聴いているのですがすごい完成度ですよね。

1980年代にあの音楽をやっていたのって相当すごいことなんじゃないかな?と感銘を受けました。

PAUL WELLERはその後ソロになってリリースした骨太な1stアルバムPaul Weller(1992年作品)もゴキゲンでしたしね、そして書くまでもなく以降の作品にも傑作が多いですしね、強烈な信念を持ってキャリアを突き進む本当の偉人だと思います!

そして、本当の(よき意味で)音楽バカなんだと思います。

THE JAMもTHE STYLE COUNCILもリアルタイムで聴くことは叶わなかったのでめちゃくちゃ熱心なファンという訳ではありませんが、「少しでもこの人のようにありたい」と強く思います

明日以降はPAUL WELLERのソロアルバムを聴こうかな。

1stアルバムのオープニングトラック:Uh-Huh Oh Yeh!を初めて聴いた時に「なんちゅーカッコいい曲だ!」と呆れた記憶が蘇りました。

最後にUh-Huh Oh Yeh!のミュージックヴィデオを貼りますのでお時間がありましたらぜひとも愉しんでください!

極上グルーヴはかなりの中毒性です。

 

 

 

ところで。

「極上」といえば。

3日振りに新作バンチブックをご紹介します。

ここ最近何度か「そろそろJacketing(ジャケッティング:ジャケット向けテキスタイル)を」と書きましたが、遂に!ファイナリー!アットラスト!今回からしばらくの間はJacketingのバンチブックをご紹介することにしました。

Jacketingのバンチブックはその多くが様々なミル/マーチャント/ブランドの素材が混在している上にコンポジションも色々なのでご紹介が大変です。

なので、やや後回し気味になっていました汗。

が、この3連休はかなり暇(泣)だったこともありやっとのことで自身のジャケットを仕込み終えたのでジャケット熱が高まっています。

そして、以前よりご紹介したくてウズウズしていた素材がたくさんあります。

という訳で重い腰を上げてJacketingのバンチブックをご紹介することにしました!

16回目の今日はmade in Italyの極上Jacketingが百花繚乱している1冊をご紹介します。

具体的にはPiacenza、Ferla、Careo Barbera、E.Thomas、Drago、VBC等々、錚々たるメンツの素材がコンパイルされている1冊です。

どの新作も素晴らしいのですが、冒頭にコンパイルされているPiacenzaとFerla、そして展開が拡大しているDragoのSkyfallは特に白眉です!

ご来店の際にはぜひともじっくりとご覧になってください。

もちろんお電話/e-mail/SNS等でのご注文/お問い合わせも可能です。

気になる素材があってもしご来店が難しいようでしたらどうぞお気軽にご連絡をください。

ご来店なしでもお作りいただけるように工夫をします。

では、今日も魂を込めて全マークを出来るだけ丁寧にご紹介します。

 

 

 

今日ご紹介するのは ↓こちら↓ のバンチブックです。

 

 

こちらは国内最大手(だと思います)の問屋であるT社さんが独自編集したバンチブックです。

収録されているのは表紙に記されたPiacenza、Ferla、Careo Barbera、E.Thomas、Drago、VBC等の13社で全社がイタリアンミルです。

なので、全素材がmade in Italy、そして13社それぞれが「得意技」を見せつけているかのような素晴らしいコレクションに仕上がっています。

今日はその一端が少しでもリアルに伝わるように魂を込めると同時にいつも以上に丁寧にご紹介しようと思います!

少々マーク数は多めなのですがぜひとも最後までお付き合いください。

 

 

Piacenza

 

 

冒頭には美しいPiacenzaの無地3マークがコンパイルされています。

現存する世界最古のミルといわれるPiacenzaの歴史は極めて長く、実に1600年代まで遡ることが出来ます。

具体的には1623年に毛織物商を営んでいた記録が残っているそうです。

1623年といえば、日本では徳川家光が江戸幕府3代将軍になった年。。。

すごいですよね!

そして、その約100年後に自分達で毛織物を織り始め現在に至ります。

企業としての創業年は「その約100年後」に当たる1733年だそうです。

1733年といえば、日本では円山応挙が誕生した年。。。

これまたすごいですよね!

そんな重厚な歴史を誇るPiacenzaはイタリア随一の高級毛織物産地として有名なビエラ地区で創業して以来今日まで、最上質原料の使用を徹底しハイクオリティ&ハイクリエイティヴィティな素材を生み出し続けている超名門イタリアンミルです。

数々の逸話を誇るPiacenzaですが、1913年に初めてイタリアに伝えたとされているCashmereを筆頭とした高級獣毛やSilkを使用した素材でも極めて有名です。

そのような背景もあり「PiacenzaといえばCashmereやCamelhair」といったイメージが強いミルです。

この3マークはそのイメージ通りの素材で、上2マークが51% Cashmere + 49% Silk(330g/m)で下が100% Baby Camel(550g/m)です。

(なかなか画像ではお伝えができませんが)素晴らしい素材感、美しい毛並みと光沢、そして繊細なカラーと三拍子揃った逸品です。

Jacketingですがもちろんコートを作っても◎だと思います。

 

 

Ferla

 

 

1857年創業、SilkやMohair、Baby alpacaを筆頭にした様々な極上マテリアルを巧みにブレンドして個性豊かなJacketingを「発明」し続けている老舗ミルFerlaの超強力な新作7マークです!

Women’sも得意としているミルならではの「他社の追随を許さない華やかな色彩と豊かな表面感」がFerla最大の魅力なのですが、今回入荷した新作もご覧の通りいかにもFerlaらしいナイスな素材ばかりです

上2マーク:58% Wool + 33% Baby Alpaca + 9% Polyamide(290g/m)のチェックです。最高品質のBaby Alpaca(生まれて初めて刈り取った原毛の中でも最高級の「背中の毛」)由来の柔らかくしなやかで光沢に恵まれた素材感とモダンクラシックの極致ともいえる豊かなカラーリングが魅力の逸品です。いずれもしっかりとした素材感かつ合わせやすい色柄の素材なので「一生モノ」になりそうな予感がビンビンします。また、パッと見よりも軽快なウエイトも魅力でしょうか。という素材ですので、エレガントなデザインかつ軽快な仕立てのジャケットがオススメです。

上から3番目:37% Wool + 32% Baby Alpaca + 12% Polyamide + 10% Silk + 9% Linen(360g/m *145cm巾)のウインドウペーンです。Ferlaお得意の「5者混」ですね!Baby AlpacaとSilk、そしてLinenをブレンドするという発想がまずはクリエイティヴの一言です。そしてツイーディな「顔」としっとりとして贅沢な肌触りもお見事。加えてこの個性的でありながらも品のあるカラーリング!(この画像だと見えにくいですけれど汗)本当に素晴らしいです!ウエイトはそこそこありますがこの素材感とカラーなら夏を除いた3シーズン楽しめると思います。

上から4番目:68% Wool + 25% Baby Alpaca + 6% Polyamide + 1% Lycra(320g/m *140cm巾)のグレンチェックです。洗練を極めた色柄が自慢の素材です。「超個性派」が揃うFerlaの新作中だとやや渋めにも映りますが、ジャケットに仕上がると確かな存在感を持ったエレガントな個性派に「化ける」と思います。個人的にはダブルブレステッドのジャケットを作ってみたいです。

上から5番目:50% Baby Alpaca + 26% Wool + 19% Polyamide + 4% Linen + 1% Lycra(330g/m *145cm巾)のヘリンボンです。こちらも「5者混」ですね。ベイジュのリングヤーンが独特の立体感を表現しているこれまたFerlaらしい素材だと思います。着るたびに元気いっぱいになれそうなオレンジもすごくいいですよね!ひとつ上と同様、Lycraが混紡されているのでストレッチ性に恵まれてるのも嬉しいポイントではないでしょうか。

上から6番目/7番目:57% Baby Alpaca + 31% Polyamide + 12% Linen(340g)のストライプです。「約3.0cmのワイド巾とハンド刺繍のように入ったストライプ」が極めてスタイリッシュな素材です。リングヤーンでランダムに表現したネップも素敵ですし若干のカントリーテイストが入ったモダンなカラーリングも絶妙ではないでしょうか!?

どれも素晴らしい素材です!

皆さんはどれがお好みですか?

僕は。。。

最後に披露するベスト5セレクションでお確かめください。

*巾の表記がない素材はすべて150cm巾です

 

 

Carlo Barbera / E.Thomas

 

 

僕が愛してやまないイタリアンミル2社:Carlo Barbera(上2マーク)とE.Thomas(下2マーク)の新作です。

Carlo Barberaは僕が最も好きなイタリアンミルです。

残念なことにそこまで規模が大きくないせいか、あるいは某大手マーチャントから別注品を頻繁に受けているせいか、Carlo Barberaという名前でバンチブックに登場することはあまり多くありません。

が、わずか2マークではありますが、今回久し振りに登場したのは喜ばしい限りです。

これをきっかけに徐々にでもバンチブックに登場する機会が増えるといいのですが。。。

というCarlo Barberaは1949年創業、強烈ともいえる素材作りへのこだわりがファッション業界ではつとに有名です。

素材の良し悪しには最もうるさいファッション業界でも頻繁に「最高のミル」と評されることが多い理由は彼ら自慢の独自製法にあります。

その独自製法を象徴しているのが彼らが掲げる「天然で採取できる最も細くて長い素材のみを使用し最高品質の素材を生産する」という言葉、そして「オーストラリアのオークションにおいて買い付けられた最上級の原毛を紡績した糸を地下倉庫で一度寝かせる」こだわりです。

地下倉庫は、糸の緊張を解くため、1年を通して気温が約7度・湿度が75%に保たれています。

もちろん製織と整理工程にもこだわりが貫かれています。

そんなCarlo Barberaの極上素材はKitonを筆頭に数多の最高級ブランドやファクトリーに愛され現在に至ります。

僕がかつて頻繁にイタリア北部で行われていた素材の展示会:イデアビエラに足を運んでいた頃(GIEVES & HAWKESをやっていた頃なので23年~28年前くらいでしょうか?)に印象深かったのは、彼らのコレクション(の素晴らしさ)と同時にスタッフさん(多分Barbera一族の方たちが多かったと思います)のスタイリッシュさです。

数あるミルの中でも群を抜いて粋なスタッフさんが揃っていました。

「きっと、売れる素材ではなく自分たちが着たい素材を作ろう!という意識が徹底されているんじゃないかな?」と思って清々しい気持ちになったものです。

上:75% Wool + 13% Linen + 10% Polyamide 2% Polyurethane(310g/m)のビッグチェックです。ヴィンテージタッチが強めの色柄とモダンなストレッチボディが見事なハーモニーを奏でたナイス素材だと思います。シャツもそうですが、最近はAutumn/Winter向け素材にもLinenが混紡されるケースが増えてきましたね。Linenが通年使える原料だという認知が再度されるのはとってもよきことだと思います!それはともかく、僕はこちらならシャープなシングルブレステッドジャケットを作ってみたいです。

下:65% Wool + 15% Silk + 10% Polyamide + 10% Cotton(330g/m)のハウンズトゥースです。「ツイーディな素材感とトラディショナル柄」と「キレイなグリーングラデーションと上質なシルク由来の豊かな光沢」というやや反対気味の要素が絶妙な化学反応を起こした素晴らしい素材だと思います。こちらの素材でジャケットを作ったならば、Vゾーンもボトムスも足元もグリーン系でまとめたいですね!

上記の通り下2マークはE.Thomasの素材です。

E.Thomasは1922年にイタリアのスイス国境にほど近いルガーノという湖の一角でErnesto Thomasによって創業されました。

以来、1世紀に渡って「高品質なWool素材をはじめ、CashmereやSilk、Linen、Mohairといった高級素材/天然素材を混紡したラグジュアリーかつクリエイティヴな素材」を作り続けています。

年間生産量がそこまで多くないせいか、あるいは(もし20年以上前と変わっていなければ)日本のエージェントさんが掲げる「多く流通させることが目的ではない。セールスも量より質!」という方針のせいか、日本における知名度はそこまで高くないのですが、その品質の高さは折り紙つきです!

それが証拠に僕の知る限り、テイラー業界内にもファンが少なくないミルです。

かくいう僕も、E.Thomasの真髄である「洗練されたイタリア的感性と旧き佳き英国的なモノづくりが絶妙にフュージョンされたイタリアンブリティッシュ」なクリエイションに強く共感して、Carlo Barberaとともに一時期すごく憧れていました。

結構お高いので、この業界に30年近くいながらも2着くらいしか作れていませんけれど汗。

でも、いつかまた作りたいと思っています。

上:93% Wool + 7% Cashmere(350g/m)のツイードです。「力強いグリーンのヘリンボン」と「高貴なパープル(とベイジュ系)のウインドウペーン」のコンビネーションが至極スタイリッシュではないでしょうか。しっかりと打ち込んだ素材感もナイスだと思います。

下:55% Wool + 19% Mohair + 17% Polyamide + 9% Cashmere(350g/m)のツイードです。ちょっとアートっぽくも見えるチェックがすごくカッコいいと思います。Mohair由来のハリコシ、MohairとCashmere由来の光沢も◎だと思います。ありそうでなかなかない色柄なので人気銘柄になるかも!?と予感しています。

 

 

Drago

 

 

 

 

 

すべてDragoの看板商品に育ったSkyfallシリーズのJacketingです。

新作バンチブックの8回目でご紹介した通り、Skyfallは14.5μ(マイクロン)というかなりの細さを誇るSuper 180’s原料を使って織り上げられた傑作にしてDragoの主力Suting(スーティング:スーツ向けテキスタイル)です。

映画007 Skyfallで主演Daniel Craigが着用したSuitingをDragoが手掛けたことからこのシリーズはスタートしています。

その最大の魅力はSuper 180’s原料由来のカシミアライクな極上の肌触りと美しい光沢です。

品のあるカラーリングも素晴らしいと思います。

そんなSkyfallシリーズはJacketingの展開絶賛拡大中です。

さすがは人気シリーズです。

素晴らしい!

上画像:80% Super 180’s Wool + 20% Silk(395g/m)のチェックです。2カラー使いの洗練された、そしてパンチが効いたチェックが最高にクールですよね。また、最上質のSilkをブレンドしたSkyfallならではのとろけるような(本当にとろけたらまずいですが笑)極上の肌触りも堪りません!ヘタな100% Cashmere素材よりとろけますので来店の際にはぜひとも触ってみてください。

上から2番目画像:上3マークはループヤーン特有のニットにも見える独特の凹凸感が楽しい無地3マークです。品質は80% Super 180’s Wool + 20% Silk(435g/m)です。くたっとした風合いの素材ですので毛芯や肩パッドを省いたいわゆるアンコンストラクテッド仕立てで作ったらその風合いがより活かされるかもしれません。オーヴァーサイズジャケットを作ってもいいかもしれませんね!下3マークの品質は95% Wool + 5% Cashmere(330g/m)です。他のSkyfall Jacketingより打ち込みを少し強くしているためハードな手触りです。と思ったら、こちらの3マークだけSkyfallシリーズではありませんでした汗、申し訳ありません。。。でも、すごくカッコいい素材なのは間違いナシです!僕はこの3マークだと特に真ん中のグレンチェックが好みです。

上から3番目画像:Skyfall Jacketingの無地8マークです。品質は100% Super 180’s Wool(395g)です。美しい毛並みを持つコートにもバッチリな素材です。先日こちらのライトグレイ(下から2番目)でジャケットを承ったのですが今から仕上がりが楽しみで仕方がありません!こちらもヘタな100% Cashmere素材を余裕で凌駕する肌触りです。

下画像:上は80% Super 180’s Wool + 20% Silk(395g/m)のグレンチェックです。大きめサイズのグレンチェックと力強くもキレイなブラウンとブルーのカラーリングが最高にカッコいい素材です。こちらも先日ジャケットを承りました!仕上がりがワクワクです!!下2マークは80% Super 180’s Wool + 20% Silk(585g/m)のヘリンボンです。このウエイトですからチェスターフィールドやアルスターなど重厚感のあるコートにも◎だと思います。

最後にDragoについて再度ご説明します。

—–

1973年にUmberto DragoとLaura Drago夫妻により紡績工場として創設。

ビエラ地区の主要な毛織物工場と強固なパートナーシップを結び成長を続け、1993年には高級ミルFintes/フィンテスを買収。

両社は2001年に合併。

以降は「紡績・製織・整理までの全工程を自社でこなす数少ない一貫工場」として名を馳せ、世界中の高級ブランドやテイラーに高品質な素材を提供して今に至ります。

「Super 130’sを中心にSuper 160’sやSuper 180’s原料を使用した素材を多数展開していることに加え、Super表記のトップ品質Super 210’s原料を使用した素材の開発・生産にも成功している高い技術力」と「ストレッチ・防シワ・撥水・防汚・遮熱といった様々な機能性を兼ね備えたコレクションも豊富に取り揃える時代のニーズに沿った革新性」がその魅力です。

またルーツである紡績業を見ると、Super 130’s以上の高級細番手糸に限っては「世界の約70%を生産している超強力なサプライヤー」としても有名です。

映画007 Skyfallで主演のDaniel Craigが着用したスーツ素材を手掛けたことからスタートしたSuper 180’s Woolシリーズ:Skyfallがベストセラーを記録しているのも見逃せません。

—–

 

 

VBC

 

 

 

 

1663年創業。

360年以上の歴史を誇る、そして現在最も勢いがある老舗イタリアンミルVitale Barberis Canonico(VBC)の個性的なJacketing 9マークです。

元々は「UKミルっぽいテイストとコストパフォーマンスの高さが魅力のSuitingを展開するイタリアンミル」といったイメージだったVBCですが、昨今は様々な野心的な素材開発にも取り組んでおり「進化する老舗」の代表格といった比類なき存在になりつつあります。

もちろん以前のイメージから変わらぬ高品質のSuitingも健在、というか現在でもそちらが主力です(複数のバンチブックが入荷していますのでどこかでご紹介します!)が、この9マークを筆頭にした個性的な素材も多数展開しています。

上画像:77% Wool + 22% Polyamide + 1% Polyurethane(430g/m)のツイードです。ヴィンテージテイストが薫るドライなタッチとループヤーン使いによるモダンな立体感、そしてPolyurethane混紡由来の快適なストレッチ機能が魅力の素材です。2カラー使いのシックなカラーリングもスタイリッシュですよね。

上から2番目画像:トラディショナル柄をモダンクラシックなカラーリングで「料理」したチェック素材4マークです。上2マークには「我々が微起毛などと呼ぶわずかなミルド(起毛)加工」が施されています。それゆえの温かみも魅力です。品質は100% Wool(320g/m)です。上のレッド&ブルー!これはサイコーですよね。ジャケット推奨ながらもそこそこ打ち込んだ素材なので、僕はこちらならスリーピーススーツを作ってみたいです!下2マークはクリアカットで品質は82% Wool + 11% Silk + 7% Linen(320g/m)です。SilkとLineの混紡がとても「効果的」だと思います。

下画像:三者三様の無地です。1番上は100% Wool(350g/m)のツイードです。上から2番目はループヤーンが生み出す立体感が楽しい85% Wool + 15% Polyamide(340g/m)のパイル風ネイヴィブルー無地です。1番下は「サッカー風の凹凸」が魅力のJerseyライク素材で品質は99% Wool + 1% Polyurethane(310g/m *135cm巾)です。かなりのストレッチ性を有しているので着心地は快適極まりないと思います。ダイヤ柄の凹凸が醸し出す強いカジュアル感も魅力です。トラヴェルジャケットによさそうですね!また、こちらはボトムスもいけそうなのでゆったりサイズのスーツを作ってもいいかもしれません。

 

 

TG Fabio

 

 

 

A WORKROOM時代に僕が自分用のスーツに多用したTG Fabioの新作7マークです。

なぜ多用していたかというと。。。

TG Fabioはモードブランドにも多く供給しているだけあってコレクションがとてもクリエイティヴなのとプライスが比較的リーズナブルだったからです。

それから、当時の僕は私服だとアヴァンギャルドなデザインを選ぶことが多かった(仕事服もそうだったかな?笑)、PradaとかJil SanderとかRaf SimonsとかDries Van Notenといった比較的シックなデザインのブランドもかなり好んでいました。

そんなPradaが頻繁に使っているという話を聞いたことも多用した理由のひとつかもしれません。

記憶によれば、最低でもフロッキープリントでストライプを表現した素材のスーツを3着か4着、ジャカード素材でパンツを2本位は作ったと思います。

「多用」と胸を張るには少ないか汗。

それはともかく。

というTG Fabioですが今では格が上がったのでしょうか。。。

プライスはそこまでリーズナブルではなくなってしまいました汗。

が、ご覧の通りクリエイティヴィティは変わらず高いと思います!

上画像:62% Wool + 30% Silk + 6% Polyamide + 2% Cashmere(350g/m)の4者混ツイードです。いずれもモダンなカラーリングと少々野趣味のある風合いが素敵だと思います。僕はベイジュベースにネイヴィブルーのウインドウペーンという比較的珍しいカラーリングがなんとも新鮮な上から2番目に心惹かれています。

下画像:1番上は98% Wool + 2% Polyurethane(275g/m)のネイヴィブルー無地です。Four SeasonsタイプのボディとPolyurethane混紡由来の快適なストレッチ性と端正なネイヴィブルーが三位一体となった「ご出張やご旅行に1年中お供してくれる」ネイヴィブルージャケットをお探しの方に大オススメです。中3マークは70% Wool + 15% Polyamide + 10% Cotton + 4% Linen + 1% Cashmere(350g)の5者混ツイードです。いずれもモダンなカラーリングとベースのシャークスキン組織がスーパークールですよね!ワイルドな表面感もナイスだと思います。ちょっとFerlaっぽい素材だと思います。下2マークは47% Wool + 47% Cotton + 4% Polyamide + 2% Polyurethane(355g/m)の無地です。デニム風なルックス、ソフトな風合い、高いストレッチ性等々、魅力たっぷりのTG Fabioらしい逸品です!Jacketingコレクションではありますが間違いなくスーツにもいいと思います。

やっぱりTG Fabioはいいですね〜!

 

 

Angelico

 

 

クリエイティヴなデザインと比較的リーズナブルなプライスが魅力のイタリアンミルAngelicoも4マークがコンパイルされています。

いずれもAngelicoらしいさりげない個性が表現されたナイス素材です。

洗練された色柄もとても素敵ですよね。

上2マーク:100% Wool(350g)のチェックです。優しい色柄としっとりとした肌触りとシックな光沢が魅力です。

下2マーク:50% Viscose + 33% Wool + 17% Polyamide(370g)のモダンツイードです。ドライな肌触りとViscoseならではのややテロンとした質感とモードっぽい色柄がカッコいい素材だと思います。特に上のブラック&ホワイトはArmaniあたりが好んで使いそうですよね!

 

 

Di Pray

 

 

1948年創業、ビエラ地区のミルとしては比較的若い企業(といっても創業76年!)Di Prayの新作6マークです。

Di Prayは主に「しなやかな風合いと精細な色柄が特徴的なMen’s向けJacketing」を得意とするミルです。

こちらの6マークもいかにも「らしい」素材だと思います。

品質はいろいろで、1番上が95% Wool + 5% Cashmere(330g/m *148cm巾)、その下3マークが77% Wool + 19% Polyamide + 4% Silk(250g/m *148cm巾)、下から2番目が100% Wool(340g/m *148cm巾)、1番下が86% Wool + 14% Polyester(340g/m *148cm巾)です。

個人的には1番下のブラックウォッチ風タータンがツボです!

が、そちらを含めていずれの素材も上の画像だけだと柄の全貌がかなり掴みにくいと思います汗。

つきましてはご来店の際にじっくりと見てやってください。

 

 

Subalpino / Tollegno 1900

 

 

高級イタリアンミルが集結している北イタリアのビエラ地区で40年以上の歴史を持つCottonやLinenといった天然繊維のスペシャリストSubalpinoの新作は上2マークです。

記憶によれば、LOUD GARDENで取り扱うバンチブックにSubalpinoが登場するのはこれが3回目だと思います。

Carlo Barberaとともになんとも嬉しい再会です!

新作の品質は100% Wool(360g/m)です。

Subalpinoの新作なので「CottonやLinen混紡に期待したけれど。。。」と思いましたが触ってみてびっくり!

めちゃくちゃドライでハリがあって少々ハードなLinen素材を彷彿とさせる素材感なのです!!

これはイイです。

ナチュラル&モダンなカラーリングも堪りません!

僕はゆったりサイズのバルマカーンコートを作ってみたいです。

母体であるLoro Piana社が1900年にメゾンやアパレルメーカー向けのテキスタイルを提案するために設立したミルTollegno 1900の新作は下2マーク:48% Wool + 40% Cotton + 10% Linen + 2% Polyurethane(280g)のストライプです。

約4.1cmと大胆なワイド巾ストライプとクールなカラーリングが特徴の素材です。

物性に問題はなさそうなのでジャケットではなくスーツを作ってもカッコよさそうですよね!

また、品質的にもウエイト的にも盛夏を除いたほぼオールシーズン着られるのも魅力だと思います。

以下にTollegno 1900について簡単なご説明を加えます。

以前はLanificio di Tollegnoと名乗っていましたが、現在はTollegno 1900で統一されています。

* “Lanificho” はイタリアのミルがよくつけているワードで「服地製造工場」の意味です

Tollegno 1900はテキスタイルの企画から紡績、染色、製織、整理までを一貫して行うミルですが、糸自体を販売する紡績メーカーとしても知られています。

そんなTollegno 1900のコレクションは「120年以上に渡る歴史と伝統に裏打ちされたこだわりの一貫生産が生む安定したクオリティ」「常にファッショントレンドが織り込まれたテキスタイルデザイン」「戦略的なリーズナブルプライス」といったたくさんの魅力を誇ります。

その出自からテイラーへの販売にそこまで積極的ではないせいか日本ではあまり知られていませんが、イタリアでは確かなプレゼンスを誇る実力派ミル・要注目のミルです。

その実力の確かさはイタリアのビッグメゾンがこぞってTollegno 1900に別注素材をオーダーしていることからも証明されています。

 

 

Bottoli

 

 

Bottoliは1861年に創業された、毛織物大国イタリアの中でも数少ない「原毛の選別からフィニシングまでを一貫で行うミル」です。

創業以来数世紀に渡って上質でエレガントな素材を追求してきた結果、JacketingやOvercoating(オーヴァーコーティング:コート向けテキスタイル)に特化した希少なミルとして世界的に高い評価を得ています。

具体的には「新素材開発に対する弛まぬ研究心」「異素材を巧みに組み合わせる技術力」「ユニークな織組織を構築する創造力」がその特徴です。

また、サステイナナビリティも強く意識しており、Bottoliのコレクションにはアンダイド(無染色)なエコフレンドリー素材:Lana Italianaも多数含まれています。

今回入荷したと4マークのうち1番下のハウンズトゥースもLana Italianaです。

Lana ItalianaはBottoliの現社長Roberto Bottoliが長年の素材リサーチの末に完成させた渾身のアンダイド素材です。

原毛はイタリア中部から南部に位置するプーリア州、アブルッツォ州、モリーゼ州で暮らす羊から刈り取った最上質のイタリア産メリノウール(ソプラヴィザーナ種およびジェンティーレインプーリア種)のみを使用、化学染料を一切使用せずに原毛のナチュラルなカラーを活かすと同時に化学溶剤を使用しないエコフレンドリーさがその特徴です。

Marling & EvansのUndyed British Woolと似た(というか同じ)アプローチの素材ですね。

ともに一貫工場を持っていて比較的近隣で刈り取られた原毛を利用している点もそっくりです。

生産が近隣で完結すればそれだけ二酸化炭素排出量が少なくて済みますからね。

一貫工場を持っている強みはこんなところでも発揮されます。

原毛のナチュラルカラーを利用している訳ですから当たり前ですけれどカラーリングもUndyed British Woolと似ています。

オーガニックでナチュラル、そして優しさと温もりを感じる素敵なカラーですよね。

上3マーク:80% Wool + 18% Silk + 2% Cashmere(320g)の「3者混」素材です。こちらで使われているウールもアンダイドウールだと聞いています。かなりざっくりとした甘めの打ち込みがすごくいい感じの素材です。

*3者混なのでLana Italianaを名乗っていないようです

1番下:100% Wool(300g)のLana Italianaです。上3マークに比べてかなりしっかりとした打ち込みが特徴です。

 

 

Campore

 

 

Camporeは1830年創業の老舗ながら、主力のビジネススーツ用のクラシカルなウールやトラディショナルなツイード以外にも大胆に意匠糸を用いた華やかなファンシーツイードやジャカードといった遊び心いっぱいの素材を毎シーズンリリースしている極めてユニークなミルです。

僕もGIEVES & HAWKES時代にしばしばそのコレクションを拝見していたのですが結局一度も使うことはなかった記憶があります汗。。。

が、しかし、このタータン3マークは素敵ですね!

色柄もいいですし、リアルなスコティッシュタータンに近いハードな打ち込みとドライなタッチがナイスです!

どれも作ってみたくなります。

中でもタータンとしては珍しい真ん中ブラック&ホワイトのカッコよさが際立っている気もします!

品質は100% Wool(310g *140cm巾)です。

続いて、この膨大かつどれもこれも素敵なコレクションの中で僕がセレクトしたベスト5を発表します!

 

 

「僕のイチオシ」5-1

 

 

Piacenzaの100% Baby Camelです!

これは文句なしの傑作なので真っ先にセレクトしました!!

Loro Piana謹製のヴィンテージ100% Baby Camelで作ったダブルブレステッドチェスターフィールドコートを持っているのですが、あれはバルクアップ&デブ化でかなりタイトになってしまったのでこちらで新たに作りたいかも!

せっかくですからデザインは少し変えたいですね。

もし作ったらLoro Pianaの素材で作ったコートは。。。

絶対に痩せるつもりなのでその時に着ます!!

そうしたらこちらで作ったコートがダブダブになりますね笑。

それはともかく、コート以外にもダブルブレステッドのブレザーを作ってみたいです。

Camel Hair素材はかなり希少ですし絶対のオススメです!!

 

 

「僕のイチオシ(というかニオシ)」5-2

 

 

Ferlaの下2マーク:ワイドストライプです!

Ferlaの新作7マークはどれもがこうして全貌が分かる画像で見ると素晴らしく素敵なのですが。。。

今回は特にこの2マークに惹かれました。

完全に「ジャケット推奨」の素材ながら。。。

上のブラウンでダブルブレステッドのジャケットを下のライトグレイでワイドシルエットのボトムスを作りたいです!

長くは履けないと思いますがワイドシルエットかつ尻グリに補強テープを入れてから縫製すれば何とか3年くらいはサヴァイヴすることでしょう。

ちょっと勿体ない気もしますがそれでも作ってみたい気がします!

もし皆さんがボトムスを作る時には。。。

申し訳ありませんが短命であることをご理解いただいた上でお願いいたします!

 

 

「僕のイチオシ」5-3

 

 

DragoのSkyfallからはこちらのウインドウペーンをセレクトしました。

オフホワイトとロイヤルブルーの最高にスタイリッシュなカラーリング。

絶妙な大きさのウインドウペーン。

リングヤーンを巧みに使って表現した独特の立体感。

そして、Skyfallクオリティ。

最高の一言ではないでしょうか!?

僕はこちらならシャープなデザインのジャケットを作りたいです。

具体的には「ピークトラペル + シングルブレステッド1ボタン + クラシックフロント + スランテッド/ハッキングポケット」あたりで作りたいです。

ライニングは “♡ Camo” silk c/# RWGがいいでしょうか。

あるいはロイヤルブルー系のド派手なライニングをセレクトしたいです。

そして、例えばロイヤルブルー&100% Cashmereのタートルネックニットウェアとロイヤルブルー&コーデュロイのボトムスを合わせてスーパーダンディなカジュアルスタイルを愉しみたいですね!

 

 

「僕のイチオシ(というかサンオシ)」5-4

 

 

DragoのSkyfallからはもう1マーク(ではなく3マーク)セレクトしました!

だって。。。

やっぱり最高にイイんですもの!!

エレガント極まりないベイジュ、ライトグレイ、ピンクベイジュ。。。

どれも最高です。

僕はこのどれかでフォレスティエールを作ってみたいです。

絶対に素材のエレガンスが際立つ知的な1着に仕上がるはずです!

 

 

「僕のイチオシ(というかニオシ)」5-5

 

 

Bottoliからはこちらをセレクトしました!

僕はこの2マークを巧みに使ったジャケットが作りたいです!

この2マークなら。。。

メインを下のダークトーンにしてパーツを上のライトトーンにするのがいいでしょうか。

本当はワイドパンツも作ってみたいのですがさすがにこのボディは甘過ぎなので断念せざるを得ません。

あるいは。。。

Reversible Balmacaan Coatを作っても間違いないですよね。

きっと仕上がったその日からいい感じにクタッとした1着になっているはずです。

 

以上です。

 

今日ご紹介した1冊もそうでしたが、上述の通り多くのJacketing専用バンチブックはたくさんのミル/マーチャント/ブランドの素材がコンパイルされているだけでなく品質も多岐に渡るのでどうしても説明が長くなってしまうのですけれど。。。

もし「いいじゃん!」と思える素材が見つかったとしたら本当に嬉しいです。

皆さまからのご注文・お問い合わせを心よりお待ちしています。

次はまたJacketingかな?と考えています。

が、実はかなりの時間(今日の回は作成に合計5時間はかかりました汗)と労力が必要なので明日あさっては無理そう。。。

金曜日以降になると思います。

とにもかくにも乞うご期待ください。

 

 

 

◆本日の一曲◆

 

 

Uh-Huh Oh Yeh!

PAUL WELLER

 

サイコーですよね!

しかし。。。

今更ながら。。。

PAUL WELLERはルックスも抜群にカッコいいのが反則ですよね笑。

 

 

 

15th. Oct. 2023

Ryoji Okada

 

 

 



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